漏水による外壁タイルの補修
タイルの補修
経年劣化した外壁タイルの補修は、まず打診棒による打診検査から始まります。
打診して軽い音がした部位はタイルが浮いているので、張り替えるか、エポキシ樹脂の注入などで補修します。 タイルの浮きを放置するとやがて剥落し、人身、物損事故の原因になります。
タイル目地の補修
経年劣化したタイル目地は程度により、次のような補修になります。
- 劣化が大きい場合は目地を撤去して、新規に目地埋めする。
- タイルとの肌別れ、ひび割れなどは既存目地の上から目地材を塗り付けする。
タイルのひび割れ補修
タイルがひび割れている場合は、張替えが最善策ですが、ひび割れの幅が0.2mm以下の場合はそのまま放置しても問題ないと思われます。
タイル目地からの漏水防止方法
タイル目地材は施工初期には防水性があるのですが、4~5年程度で防水性が損なわれます。 その後タイル目地から雨水の侵入が始まり、躯体に生じたひび割れから室内に雨水が漏れ始めます。 タイル張りの建物で室内漏水が発生している場合は、タイル目地からの雨水の侵入が主な原因になります。
そこで、タイル目地防水として、主に次のような工法で雨水の侵入を防止しています。
- 透明なアクリルシリコン系の塗料(クリアー)をタイル面全体に塗布する工法。
- 透明な浸透性シラン・シロキサン系防水剤をタイル面全体に塗布する工法。
上記の二つの工法の比較検討
透明なアクリルシリコン系塗料
●特長
・タイル表面に塗膜を形成し防水するが、不自然な光沢が出る
・タイル内側から水蒸気が外側に出ようとする際、塗膜が白濁することがある
・樹脂系塗膜の為、紫外線劣化し、8~10年程度でひび割れや剝離を起こし、再度漏水が始まる
・メンテナンス性が悪い
・タイル表面及び目地の防水はできるが、タイルの裏側に走る水道は防水できない
・コストが高い
透明な浸透性シラン・シロキサン系防水剤
●特長
・タイル目地深く浸透し長期間(10年以上)防水効果を持続する
・タイルの風合いは全く変化させず、白濁なども無い
・表層は紫外線劣化するが、タイル目地内部に防水層を形成しているため、防水性は維持できる
・タイル表面に造膜していないため、メンテナンスは再塗布するだけで良い
・タイル目地から深く浸透する為、タイルの裏側に走る水道も防水できる
・コストが安い
まとめ
タイル目地の防水は非常に重要です。 漏水防止だけではなく、タイル目地の保護とタイルの浮きの抑制にもなります。 その際の防水剤の選定は圧倒的に浸透性防水剤が安全で有効だと思われます。